この本の概要
SEとしてプログラム作成をしていくときに本当に大切なのは何かということを実務的な切り口で説明をしてくれる本です。
SEなどのIT系技術の現場で仕事をしていると、中にはとんでもないくらいに多くの知識や技術を備えている人に出会ったりします。
ですがそうした人並み外れた技術や知識がある人が誰よりも仕事ができるSEなのかというと決してそういうわけではなく、むしろ技術が多すぎるがゆえにスケジュールどおりに業務を進めることが苦手になってしまっていることもよくあります。
そしてそれは他人のことばかりではなく、SEとして仕事をしていこうとする自分自身にとっても、もっと仕事ができるようになりたいとたくさんの技術書を呼んだりセミナーに自主的に参加をしたりしても、それで業務が改善するわけではなかったりします。
そうした時に技術とは全く別のどこに問題があって業務が適切に進まないのかということをケース別に丁寧に説明してくれるというのが本書の内容です。
この本がおすすめの人
この本の主なターゲットとなっているのは新人としてデビューしたばかりのSE~中堅クラスの人です。
より具体的に言えばかなり高度な教育を受けたりたくさん勉強をしてきたはずなのにどうも周囲とうまく仕事を勧めていくことができないという悩みがある人や、中堅クラスとなったはずなのに技術的な伸びが感じられないという壁にぶつかった人にこそ読んでもらいたい本というふうになります。
作者本人の内容説明から少し引用をすれば「技術的な力はあっても、仕事として使い物に」ならないものが多いということへの対応です。
この「仕事として」というのが大きなポイントであり、技術力ではなくビジネスとしてプログラミングを使用していくためには他にどういう能力が必要で何がないためにそれを適切に進めることができないかということは技術力が高いSEやプログラマーになるほど忘れてしがいがちです。
ですのでむしろ「技術や知識なら他のSEには負けない」というプライドがある人ほど読んだ方がよい本というふうにも言えます。
本の注目点と要所ハイライト
作者自身が実際にSEとして業務を経験してきたということもあり、内容の多くを占めているのは「SEとしてうまく仕事をしていくためのコツ」ということです。
趣味としてなど特に納期が定まっていないようなプログラムの場合には、自分が持っている技術や知識を存分に使い、納得がいくように作っていくことができます。
そのため学生時代の自主制作作品や卒業制作においてはかなり高度な技術を使ったプログラムを見かけることもあります。
ですが仕事としてプログラムをしていくという場合には、まず先に納期というものがあり、その期日までに既に出されている要件定義で求められている仕様を実現しなくてはいけなくなります。
技術力はあるけど仕事ができないプログラマーにありがちなのが、期間や費用よりも自分の技術的な納得の方を優先してしまうということで、それが納期の遅れやクライアント側の希望要件との齟齬を生み出してしまうというケースです。
本書においてはあくまでも作者自身の経験に基づく意見という前置きはあるものの、そうした使えないプログラマーにならないための「プログラマとしての仕事力」を提案してくれています。