はじめての上流工程をやり抜くための本 (エンジニア道場)

この本の概要

SEとして初心者として扱われる時期を終え、これから本格的にキャリアを高めて行こうというときに必要になる知識や技術のポイントについて的確にまとめてくれている本です。

内容としては今後プログラムを制作しているという技術面だけでなく、クライアントや他の社内外のチームと連携をしていくために備えておくべき心構えから入りその他に気をつけておきたいことについてを項目別に説明していきます。

精神論だけではなく実際の現場にありがちな具体例を取り上げての注意をしたり、たとえ話を使って話題を扱ってくれているので大変わかりやすく、読み終わっただけでSEとしてのレベルアップを感じることもできます。

学校を出たばかりの時期や転職をしたばかりという新人SEの頃には見えなかったことも、1~2年と現場経験を踏んでいくことにより何らかの気付きや変化を感じることがよくあります。

そうしたキャリアアップにおける自分の中の変化を感じた時には何らかの意識改革が必要となるわけですが、その手伝いをするためのアドバイスを受けることができるのがこの本です。

この本がおすすめの人

この本の読者ターゲットとなっているのは、主に中堅クラス~大手のIT企業でSIerとして勤務をするSEもしくはこれからそうした仕事に就こうとしている人です。

末端で作業をするだけのSEでは、とにかく上から降りてくる定義書の内容を見てその指示から外れないようにプログラムを制作していくということで業務内容が完結します。

しかし長くSEという仕事をしていくためにはただ上からの指示を待っているだけでは足りず、自らクライアントや元請けの企業の担当者と話し合いをしながら必要な要件定義についての意見をしていく能力が求められてきます。

SEの仕事においては詳しく使用する言語やプログラムの仕方について熟知ている能力も必要になってきますが、スキルアップをしていくためにはそこに加えてそれらの技術をIT系の技術がない人に対してもきちんと説明し、理解をしてもらう必要があります。

この本が即役立つのはまさにそうした他のスタッフと話し合いをしていくときに、どういったことに注意をしていくべきかや、どういう言い方をすればよりお互いに理解を深めることができるかといったことのヒントを与えてくれます。

初めての上流工程への参加で心が折れてしまわないように、あらかじめどういう作業が待っているかということを知るためにも大変に有効な本です。

本の注目点と要所ハイライト

本書の内容は全部で三章構成となっており、それぞれ「上流工程とは」「新業務を示せ」「ITを位置づけろ」という3つの側面からの解説をするという手法がとられています。

特に最初の「上流工程とは」という項目においては、私達が普段ITと読んでいる技術というものは広く世間的なインフラとして見た場合にどういう場面で役立っているかということを丁寧に説明してくれているので、その後に他人に説明をしていくときの言い回しの参考にすることもできます。

また第二章となっている「新業務を示せ」とは、これから新たにシステムを導入しようというクライアントに対して、どういった態度でどんな説明の仕方をすれば相手からの信頼を得ることができるかということを教えてくれます。

営業職のようにしょっちゅう別の企業や個人の方と合うわけではないエンジニアはなかなか初対面の人との距離が取りづらいところもあるのですが、そんなときにどういうところに注意していくべきかということを教えてくれるので非常に実務的な内容です。